ナンバーは英語でnumberなのに、どうして「Nu.」じゃなくて「No.」?

由来

「ナンバー」は英語で number ですが、省略形として No. と表記されるのは、実はラテン語の影響によるものです。

なぜ「No.」なのか?

No.numero(ラテン語で「数」を意味する numerus の奪格形 numero)の省略形です。
英語は歴史的にラテン語やフランス語から多くの単語を借用しており、特に学術・公文書・印刷文化の分野ではラテン語表記がよく使われました。そのため、数を表す際には英語の number ではなく、ラテン語の numero が省略形として定着したのです。

この No. の表記は英語だけでなく、フランス語(No)、ドイツ語(Nr.)、スペイン語(N.º)、イタリア語(N.)など、多くのヨーロッパ言語でも使われています。歴史的に、ラテン語が広く使用されていたため、特に公的な文書や数学・科学の分野ではこの表記が長く受け継がれてきました。また、印刷技術が発展する中で、簡潔で識別しやすい表記が求められたことも、その普及の要因となっています。

現代では、特に英語圏での公式な文書や書類、さらにはスポーツや音楽のランキングなどで広く使用されており、口頭では「ナンバー」と発音しながらも、書面では No. という表記が維持されています。これは、伝統と実用性のバランスを取るための文化的な名残とも言えるでしょう。


同じように表記と発音が異なる例

こうしたラテン語由来の省略表記は他にもあります。

  1. 「&」 (アンパサンド)
    • and を意味する et(ラテン語)を合字として省略したもの。
    • フランス語の「et」にも由来し、現代のビジネスやブランド名で頻繁に使用される。
  2. 「lb」 (ポンド)
    • pound の省略なのに「lb」と書くのは、ラテン語の libra(天秤、重量の単位)から。
    • 昔の計量システムがラテン語の影響を受けていたため、特にアメリカやイギリスで今でも使用される。
  3. 「Rx」 (処方箋)
    • prescription の略に見えるが、実はラテン語の recipe(「取れ」という意味)から。
    • 医療や薬学の分野で現在も使われている。
  4. 「viz.」 (すなわち)
    • videlicet(ラテン語で「すなわち」)の略。
    • 法律や学術論文などで使われ、特定の内容を明確に示す目的で用いられる。
  5. 「etc.」 (エトセトラ)
    • et cetera(ラテン語で「その他」)の略。
    • et は「そして」、cetera は「その他のもの」を意味する。
    • 文章を簡潔にするために日常的に使われる表現。
  6. 「vs.」 (バーサス)
    • versus(ラテン語で「対する」)の略。
    • 法律文書やスポーツの試合などで使用され、「A vs. B」の形で「A対B」を表す。
    • 最近では、ゲームや討論などの対決形式でも頻繁に使われる。

まとめ

  • No.numero(ラテン語)から来た。
  • 英語には、ラテン語由来の省略表記が多く存在し、印刷技術の発展とともに定着した。
  • 「lb」や「Rx」のように、現代の英語の発音と一致しないものも多い。
  • etc.et cetera(「そしてその他」)の略であり、他の略語と同様にラテン語の影響を受けている。
  • vs.versus(「対する」)の略であり、スポーツや法律でよく使われるほか、ゲームや討論の文脈でも広がりを見せている。

こうした表記の背景を知ると、普段見ている略語の由来が面白く感じられるかもしれませんね!

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