乗用車にはさまざまなボディタイプがあり、それぞれ異なる特徴や用途を持っています。ここでは、クーペ・セダン・バン・ワンボックス・SUVの違いや、その由来について詳しく説明します。
1. クーペ(Coupe)
特徴
- 2ドア(まれに4ドアクーペも存在)
- ルーフラインが低く、スポーティなデザイン
- 後部座席は狭め(またはない場合も)
- 軽量で走行性能が高い
- デザインの自由度が高く、空力性能に優れる
- 車高が低いため、高速走行時の安定性が向上
由来
「クーペ(Coupe)」の語源は、フランス語の「couper(クーペ)」で、「切る」という意味を持ちます。18世紀のヨーロッパで、馬車の前部を切り落とした2人乗りの馬車を「クーペ」と呼んでいたことが由来です。自動車にもその名称が引き継がれ、スポーティな2ドア車を指すようになりました。クーペは主にスポーツカーのカテゴリーに含まれることが多く、走行性能やデザインが重視されます。
代表的な車種
- トヨタ GR86
- 日産 フェアレディZ
- BMW 4シリーズ クーペ
- メルセデス・ベンツ Cクラス クーペ
- フォード マスタング
- シボレー カマロ
2. セダン(Sedan)
特徴
- 4ドア
- 独立したトランク(エンジン・キャビン・トランクが明確に分かれる)
- 快適性と実用性を重視
- 走行安定性が高く、高速走行に向いている
- 後部座席の居住性が高い
- 遮音性や乗り心地が優れているモデルが多い
由来
「セダン(Sedan)」は、17世紀にヨーロッパで使われていた「セダンチェア(Sedan chair)」という、貴族が座るためのかご型乗り物が語源とされています。この乗り物は快適性を重視しており、その概念が自動車にも受け継がれました。セダンは長距離移動に適したボディタイプであり、ビジネス用途やファミリーカーとして広く利用されています。
代表的な車種
- トヨタ カムリ
- ホンダ アコード
- BMW 5シリーズ
- メルセデス・ベンツ Eクラス
- 日産 スカイライン
- アウディ A6
3. バン(Van)
特徴
- 大型の荷室を備えた車両
- 乗員数や荷物の積載量に応じて設計
- 商用利用が多いが、一部は乗用向けにも使用
- 多くは「セミボンネット型」(エンジンが前方に独立して配置)
- 後部ドアがスライド式のものが多く、積み降ろしがしやすい
- 乗員数が多く、送迎車やファミリーカーとしても活躍
由来
「バン(Van)」は、英語の「Caravan(キャラバン)」の略語です。元々は遊牧民が移動するための荷車を指していましたが、19世紀以降、荷物を運ぶための自動車に使われるようになりました。現代では、商用バンやミニバンなど、多様な種類が存在します。
代表的な車種
- トヨタ ハイエース
- 日産 キャラバン
- フォード トランジット
- メルセデス・ベンツ スプリンター
- ホンダ オデッセイ(ミニバン)
4. ワンボックス(One-box)
特徴
- エンジン・キャビン・荷室が一体化
- エンジンが座席下に配置されることが多い
- 前部のボンネットが短いか、ほぼない
- 室内空間が広く、ファミリーカーや商用車に適している
- 衝突安全性が向上したモデルも増加
由来
「ワンボックス(One-box)」は、ボディが1つの箱のような形状をしていることに由来します。バンと似ていますが、エンジンルームとキャビンの明確な区別が少なく、衝突安全性の考え方も異なります。
代表的な車種
- トヨタ アルファード
- 日産 エルグランド
- ホンダ ステップワゴン
- フォルクスワーゲン T6
5. SUV(Sport Utility Vehicle)
特徴
- 高い車高と最低地上高(オフロード走行が可能)
- 荷物スペースが広く、多用途に対応
- 四輪駆動(AWD/4WD)の設定が多い
- 近年では「クロスオーバーSUV(都市向け)」と「オフロードSUV(本格4WD)」に分かれる
- 衝突安全性が高く、ファミリーカーとしての人気も高い
由来
「SUV(Sport Utility Vehicle)」は、スポーツ(アウトドアやレジャー)とユーティリティ(実用性)を兼ね備えた車という意味です。アメリカでは1940年代のジープ型車両が発展し、現在のSUVの基礎となりました。
代表的な車種
- トヨタ ランドクルーザー(オフロードSUV)
- 日産 エクストレイル(クロスオーバーSUV)
- BMW X5(クロスオーバーSUV)
- ジープ ラングラー(オフロードSUV)
- メルセデス・ベンツ Gクラス
- フォード ブロンコ
いかがでしたか?
由来を知ると、それぞれの車種の特徴が鮮明に浮かびあがってきますね。
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