「摂氏」と「華氏」はどう違う?ややこしい温度の単位について解説

違い

温度を測るスケールには 華氏(°F)摂氏(°C) があります。これらの違いについて、歴史的背景を踏まえながら詳しく説明します。


1. 華氏(°F)の起源と特徴

華氏スケールは、ドイツの物理学者 ガブリエル・ファーレンハイト(Gabriel Fahrenheit) によって 1724 年に考案されました。彼の基準では、

  • 氷点(純水が凍る温度)32°F
  • 沸点(純水が沸騰する温度)212°F

と定め、この間を 180 等分したものを 1°F としました。

なぜ 32°F と 212°F なのか?

ファーレンハイトは、当時の測定技術を基に温度スケールを決めました。彼は以下の3点を基準にしました。

  1. 0°F:塩化アンモニウムと水、氷を混ぜた冷却液の温度(当時最も寒い人工的な温度)。
  2. 32°F:水が凍る温度。
  3. 96°F:健康な人の体温(後に測定誤差があり、現在は98.6°Fとされる)。

その後、水の沸点を 212°F に設定し、氷点との間隔を 180 等分することで、現在の華氏スケールが確立されました。

華氏が使われる地域

現在、華氏は アメリカやカリブ海地域 で主に使用されています。特に気象予報、料理、エンジニアリングの分野では今でも広く使われています。カナダやイギリスではかつて一般的でしたが、現在はほとんど摂氏に移行しました。


2. 摂氏(°C)の起源と特徴

摂氏スケールは、スウェーデンの科学者 アンデルス・セルシウス(Anders Celsius) によって 1742 年に考案されました。

  • 氷点(純水が凍る温度)0°C
  • 沸点(純水が沸騰する温度)100°C

と定め、この間を 100 等分したものを 1°C としました。

摂氏が使われる地域

摂氏スケールは 世界のほとんどの国(日本、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど) で標準として使用されています。科学分野でも統一された基準として採用され、特に ケルビン(K) との関連性が深いため、物理学や化学、医学の分野で広く普及しています。


3. 華氏と摂氏の変換方法

華氏 → 摂氏

(℉ – 32) × 5/9 = ℃

華氏(℉)から32引いて9分の5をかけると摂氏(℃)になります。
例えば、華氏 68°F を摂氏に変換すると、
 (68-32)×5÷9=20℃

摂氏 → 華氏

℃ × 1.8 + 32 = ℉

摂氏(℃)に1.8かけて32足せば華氏(℉)になります。

例えば、摂氏 25°C を華氏に変換すると、
 25×1.8+32=77℉


4. 華氏と摂氏の使い分け

温度華氏(°F)摂氏(°C)
極寒0°F-18°C厳寒の冬
冷たい32°F0°C水が凍る温度
快適68°F20°C過ごしやすい気温
暑い86°F30°C夏の暑さ
猛暑104°F40°C熱波の気温

5. 華氏と摂氏の名称の由来

  • 華氏(Fahrenheit, °F):発案者の ガブリエル・ファーレンハイト に由来。
  • 摂氏(Celsius, °C):発案者の アンデルス・セルシウス に由来。

    それぞれ発案者の名前からとっているので「氏」が付くのですね。

6. まとめ(概要)

  • 華氏(°F)アメリカなどで使用。氷点 32°F、沸点 212°F。
  • 摂氏(°C)日本や世界の大半で使用。氷点 0°C、沸点 100°C。
  • 華氏の基準:塩水の冷却温度、人の体温、水の凍結点を元に決定。
  • 変換式
    • 華氏 → 摂氏:
    • 摂氏 → 華氏:
  • 華氏 68°F は摂氏 20°C、摂氏 25°C は華氏 77°F
  • 世界の標準は摂氏(°C)、アメリカでは華氏(°F) を主に使用。

華氏と摂氏は、それぞれの発展の歴史や地域の文化、科学の進展によって使い分けられています。

7.おまけ*「華氏451度」って

華氏451度を摂氏に変換すると、
 (451-32)×5÷9=232.7777…

『華氏451度(Fahrenheit 451)』は、アメリカの作家レイ・ブラッドベリによる1953年のディストピア小説のタイトルです。この「451°F」は、紙が自然発火する温度(約233°C)とされ、物語のテーマと深く結びついています。

作品の概要

物語の舞台は、本が禁止され、人々が情報操作された近未来社会。本を所有することが違法とされ、消防士の仕事は火を消すのではなく、本を燃やすことになっています。主人公のガイ・モンターグは、政府の命令で本を焼く消防士でしたが、ある少女との出会いをきっかけに、自らの仕事や社会のあり方に疑問を持ち始めます。

タイトルの意味

タイトルの「華氏451度」は、本が燃え始める温度とされ、検閲や思想統制、自由の抑圧を象徴しています。作中では、国家が意図的に本を焼き、人々に思考する機会を与えないことで、個人の自由や創造性を奪っていく様子が描かれています。

文化的影響

『華氏451度』は、表現の自由や検閲に対する警鐘として、現代でも広く読まれています。映画化や舞台化もされ、情報統制が問題視されるたびに再評価される作品です。

ご興味を持ったなら、ぜひ一度手に取って読んでみてください。

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