「バゲット」と「フランスパン」は、どちらもフランスを代表するパンですが、厳密には同じものではありません。
フランスパンはバゲットを含む広いカテゴリの名称であり、バゲットはその中の一種類です。
それぞれの違いについて詳しく説明します。
1. 「フランスパン」とは?
「フランスパン(Pain Français)」とは、フランス発祥のパン全般を指す総称です。
フランスパンの特徴
- 小麦粉・水・塩・酵母(イースト)だけを使用するのが基本(フランスの法律でも規定されている)
- 外側はパリッと硬く、内側はふんわりしている
- 形やサイズによってさまざまな種類がある
つまり、「フランスパン」という言葉は、バゲット、バタール、ブール、フィセルなどのさまざまなパンを含むカテゴリの名称になります。
2. 「バゲット」とは?
「バゲット(Baguette)」は、フランスパンの中の一種類であり、特に細長い形状が特徴です。
バゲットの特徴

- 長さ:約60~70cm(伝統的なバゲットは約65cm)
- 重さ:約250~300g
- 直径:約5~6cm(比較的細長い)
- クラスト(外皮)はパリッと硬く、クラム(中身)はもちもちで気泡が多い
- 焼く前に斜めに5~7本のクープ(切れ目)を入れる
(ちなみに、このクープ/切れ目と、自動車のクーペは由来が同じです。参照:乗用車のクーペの語源)
バゲットは、フランス語で「杖(つえ)」「棒」という意味を持ち、その細長い形が名前の由来になっています。
毎日の食卓でよく食べられ、サンドイッチやトースト、料理の付け合わせとして親しまれています。
3. フランスパンとバゲットの主な違い
フランスパン(Pain Français) | バゲット(Baguette) | |
---|---|---|
定義 | フランス発祥のパン全般を指す総称 | フランスパンの一種で、細長い形状 |
形状・サイズ | さまざま(丸形・細長いもの・短いものなど) | 細長く、約60〜70cm |
外皮(クラスト) | 種類によって異なる | パリッと硬い |
内側(クラム) | 種類によって異なる | もちもちして気泡が多い |
使い方 | 幅広い種類があり、用途もさまざま | サンドイッチや食事の付け合わせが多い |
4. フランスパンの種類(バゲット以外にもこんな種類が!)
フランスパンには、バゲットのほかにもさまざまな種類があります。
① バタール(Bâtard)

- バゲットより短く、太いパン(約30cm)
- クラストがしっかりしており、バゲットより中身が詰まっている
- フランス語で「中間的なもの(雑種)」という意味
- サンドイッチやトーストに向いている
② フィセル(Ficelle)

- バゲットより細いパン(長さはバゲットと同じだが、直径が3〜4cmと細い)
- フランス語で「ひも(糸)」という意味
- クラストがバゲットより多く、カリカリした食感が特徴
- ワインやチーズと一緒に食べることが多い
③ ブール(Boule)

- 丸い形をしたフランスパン
- フランス語で「ボール(球)」の意味
- クラストは厚めで、クラムがふんわりしている
- スープに添えたり、サンドイッチに使われる
④ パン・ド・カンパーニュ(Pain de Campagne)

- 「田舎風パン」という意味のフランスパン
- ライ麦粉が入っており、香ばしくて味わい深い
- 長時間発酵させるため、しっとりした食感
- スープやチーズ、ハムと相性抜群
⑤ エピ(Pain d’Épi)
- 麦の穂の形に成形されたパン
- クラストが多く、カリカリした食感
- 食べやすいように一つずつちぎれる形になっている
- バーベキューやピクニックに最適
5. 日本における「フランスパン」と「バゲット」の使われ方
日本では、「フランスパン」という言葉が広く使われており、「フランスパン = バゲット」と認識されることが多いですが、厳密にはバゲットはフランスパンの一種類です。
また、日本のパン屋では、バゲットを「フランスパン」と表記することが多いため、違いがあまり意識されないこともあります。
6. まとめ
🔹 フランスパンとは?
→ フランスで作られるパン全般のことを指す総称。
(例:バゲット、バタール、フィセル、ブール、パン・ド・カンパーニュなど)
🔹 バゲットとは?
→ フランスパンの中の一種で、細長く、クラストがパリッとしているパンのこと。
フランスパンにはさまざまな種類があり、それぞれ用途や食感が異なります。
「フランスパン」という言葉を使うときは、バゲット以外の種類も含まれることを覚えておくと、より正確に理解できます!
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