流行色ってなに?どうやって決まるの?

ファッションやインテリア、プロダクトデザインにおいて、「流行色」という言葉をよく耳にします。しかし、流行色とは一体どのように決まり、どんな影響を持つのでしょうか?本記事では、流行色の定義や決定プロセス、歴史、各業界への影響、そして未来のトレンドについて詳しく解説します。

流行色とは?

流行色(トレンドカラー)とは、その時代や季節において特に注目され、広く使用される色のことを指します。ファッション業界をはじめ、インテリアデザイン、広告、グラフィックデザイン、さらには自動車や家電製品のデザインにも影響を与えます。

流行色は単なる一過性の流行ではなく、社会の気分や時代の変化を反映する要素として重要視されています。例えば、経済が好調な時期には明るく華やかな色が流行し、不安定な時期には落ち着いた色が好まれる傾向があります。

流行色の決まり方

流行色は自然に生まれるものではなく、専門機関や業界団体が予測し、決定します。特に影響力のある団体を紹介します。

① パントン・カラー・インスティテュート(Pantone Color Institute)

毎年、パントンは「カラー・オブ・ザ・イヤー」を発表し、世界のデザイン業界に影響を与えています。この発表は、ファッション、グラフィックデザイン、インテリアデザインなど多岐にわたる業界で採用されます。

② 国際流行色委員会(Intercolor)

世界中の色彩専門家が集まり、2年前から流行色を予測する団体です。各国の市場調査や社会的なトレンドを基に、未来の流行色を決定し、各国の業界に影響を与えます。

③ 日本流行色協会(JAFCA)と日本の流行色の決定

日本では「日本流行色協会(JAFCA)」が国内の流行色を決定します。JAFCAはファッションやプロダクトデザイン、インテリアなど多くの業界と連携し、日本独自の流行色を提案します。日本の流行色は2年前から選定作業が始まり、国内外の市場動向や社会的トレンドを分析して決定されます。

また、日本特有の文化や季節感が流行色に反映されることも特徴です。例えば、春には桜を連想させるピンク系、秋には紅葉を思わせる暖色系が好まれる傾向があります。

流行色の歴史

流行色の概念は古くから存在し、特にファッションの分野では長い歴史があります。中世ヨーロッパでは、色が社会的な地位を象徴し、特定の色を身につけることが許されていたのは貴族だけという時代もありました。

現代では、流行色はより広範な市場分析を基に決定され、個人の選択の自由が尊重されつつも、業界全体の方向性を示す重要な指標となっています。

流行色がもたらす影響

① ファッション業界への影響

ファッションブランドは流行色を基にシーズンごとのコレクションを発表し、消費者の購買意欲を刺激します。例えば、2021年には「グレー」と「イエロー」がパントンのカラー・オブ・ザ・イヤーとして選ばれ、多くのブランドがこの色を取り入れたアイテムを展開しました。

② インテリア・デザイン

家具や壁紙、カーテンなど、インテリア業界でも流行色は重要な要素です。特に、住宅市場では、壁紙やキッチンのデザインなどに流行色が反映され、住空間のトレンドを形成します。

③ 広告・マーケティング

広告やパッケージデザインにも流行色が取り入れられます。特にSNS時代においては、視覚的インパクトが重要であり、流行色を採用することで消費者の関心を引く効果があります。

④ テクノロジーと流行色

スマートフォンや家電製品のカラーにも流行色が反映されます。例えば、Appleは毎年新しいiPhoneのカラーバリエーションを発表し、流行色を取り入れたモデルが注目を集めています。

流行色の未来

流行色は、社会の変化やテクノロジーの発展とともに進化しています。近年では、環境意識の高まりにより、エコフレンドリーなカラー(自然をイメージさせるグリーンやアースカラー)が注目されています。

また、デジタル技術の進化により、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)など新しいメディアの登場に伴い、新たなトレンドカラーが生まれる可能性もあります。例えば、近年では「ネオンカラー」や「ホログラフィックカラー」など、デジタル空間で映える色が人気を集めています。

まとめ

流行色は単なる一過性のトレンドではなく、社会や市場の変化を反映し、ファッションやデザイン、マーケティングに大きな影響を与える要素です。専門機関が予測・選定し、様々な業界で活用されることで、私たちの生活に深く関わっています。

特に日本では、流行色が2年前から計画的に選定され、国内市場の特性や文化を反映したカラーが選ばれる点が特徴です。

次に流行色を目にしたときは、その背景にあるストーリーや決定プロセスを意識してみるのも面白いかもしれません。

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