取る・採る・摂る、の違いは?

「取る」「採る」「摂る」はすべて「とる」と読みますが、それぞれ異なる意味や用法を持ちます。これらの違いを言語的に説明します。


1. 取る(とる)

  • 意味: 物を手にする、獲得する、行動を実行する。
  • 語源: 「手でつかむ・所有する」ことを表す動詞。
  • 使用例:
    • 「本を取る。」(物理的に手に取る)
    • 「メモを取る。」(情報を記録する)
    • 「責任を取る。」(行動や結果を引き受ける)
  • 特徴: 最も広い意味を持ち、物理的・抽象的な「獲得」「取得」「所有」など多様な文脈で使用される。

2. 採る(とる)

  • 意味: 選び取る、収集する、受け入れる。
  • 語源: 「摘み取る」という意味から派生し、選択や収穫の意味を持つ。
  • 使用例:
    • 「山菜を採る。」(自然のものを収穫する)
    • 「意見を採る。」(意見を採用する)
    • 「血を採る。」(採血する)
  • 特徴: 「選び出す」「取り入れる」といったニュアンスを含み、特に自然のものを集めたり、何かを選択する場面で使われる。

3. 摂る(とる)

  • 意味: 栄養や食事を体内に取り入れる。
  • 語源: 漢字「摂」は「摂取」や「摂政」のように「取り入れて管理する」の意味を持つ。
  • 使用例:
    • 「朝食を摂る。」(食事をとる)
    • 「ビタミンを摂る。」(栄養を摂取する)
    • 「水分を摂る。」(水を飲む)
  • 特徴: 「摂取」の意味を強く持ち、特に食事や栄養補給の文脈で使われる。

まとめ

表記主な意味用法の違い
取る獲得・取得・所有最も広範囲で使われる
採る選び取る・収穫する選択・採集・採用の文脈
摂る体内に取り入れる食事や栄養摂取の文脈

補足

  • 間違えやすいケース
    • 「サプリメントを摂る」が正しく、「取る」は使わない。
    • 「試験で点を取る」が正しく、「採る」は使わない。
    • 「新しい方針を採る」が正しく、「取る」も使えるが、採用のニュアンスが強くなる。

基本的に「取る」が最も汎用性が高く、「採る」や「摂る」は特定の場面で使われます。

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